日本の問題

クールジャパン

慶應義塾大学大学院教授
中村 伊知哉 氏

マンガ、アニメ、ゲーム…日本では大人も子どももポップカルチャーが大好き。政府は「コンテンツ立国」を掲げ、エンターテインメント産業を支援してきた。だが、期待に反し、この産業は停滞気味。少子化が進む国内市場は成長が頭打ちだ。

希望は海外市場。日本のポップカルチャーに対する世界の人気は定着し、日本の首相の名前は知らなくても、ピカチュウ、ワンピース、ナルト、スーパーマリオは、世界中の多くの子が知っている。

ところが、これも産業として成功しているとは言いがたい。コンテンツ産業における海外売上げの比率は、アメリカ17%に対し、日本は5%。国内市場に安んじてきたため、ビジネス対応が遅れる一方、ネットなどで無料・安価に流通したためだ。

何とかしなければ、ということでここ数年、「クールジャパン」という旗を掲げ、コンテンツの海外展開が本格化している。ただ、今さらコンテンツを売るのは難しい。それよりも、コンテンツを尖兵にして宣伝し、ファッションや家電、和食や観光など、他の産業で稼ぐ戦略が注目される。総合力を活かそう。

2015年4月27日

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1961年生まれ。慶應義塾大学大学院 教授。政策・メディア博士。
ロックバンド「少年ナイフ」ディレクター、郵政省、MITメディアラボ客員教授、スタンフォード日本センター研究所長を経て 2006年慶應義塾大学教授。内閣官房知的財産戦略本部検証・評価・企画委員会座長、デジタル教科書教材協議会事務局長などを兼務。

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