日本の問題

ニッポンの創造性

慶應義塾大学大学院教授
中村 伊知哉 氏

ある米国企業が日・米・英・仏・独の成人5000人に「世界一クリエイティブな国は?」と問うたところ、日本が36%で、首位だった。日本は海外から創造的だとみられている。正当な評価だと思う。

ところが、「あなたの国はクリエイティブか」と聞かれたら、52%が「イエス」と答えた首位の米国に対し、日本は19%と圧倒的な最下位。日本は自分の実力を認識していない。だから外向けにパワーが出ない。

一方、インターネットの1人当たりの情報発信量が、日本は世界平均の5倍で世界一という調査結果がある。面と向かっては恥ずかしがり屋で、コミュニケーション下手というのが我々の自己評価だが、情報社会では実力を発揮できるかもしれない。

リチャード・フロリダ著「クリエイティブ都市論」によれば、地域別の経済生産では、首位は広域東京圏(2.5兆ドル)で、2位がニューヨークなどの東海岸(2.2兆ドル)。「大阪・京都・名古屋圏」は5位(1.4兆ドル)だという

日本は、そして日本の都市は、力を持っている。どう生かすのか。自分の持つ力を認識し、それを発揮する戦略が大切だ。

2015年6月22日

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1961年生まれ。慶應義塾大学大学院 教授。政策・メディア博士。
ロックバンド「少年ナイフ」ディレクター、郵政省、MITメディアラボ客員教授、スタンフォード日本センター研究所長を経て 2006年慶應義塾大学教授。内閣官房知的財産戦略本部検証・評価・企画委員会座長、デジタル教科書教材協議会事務局長などを兼務。

中村伊知哉氏