日本の問題

減速する中国経済

青山学院大学教授、元財務官
榊原英資氏

1979年から2008年まで年平均で9.8%の成長を達成してきた中国経済は2010年代に入ると減速し、IMFによると成長率も2012年7.76%、2013年7.75%、2014年7.36%と7%台に入ってきている。2015年4月のIMFの予測では2015年と2016年はさらに成長率が低下し、それぞれ6.76%、6.30%と6%台まで下がる見通しだ。

高度成長を続けてきた中国経済が安定成長期に入ったのだが、高度成長から安定成長への移行はそれほど簡単ではない。中国政府は2015年の目標成長率を約7%としているが、達成できるかどうか微妙だ。

中国の人口は約13億9400万人だが、数年後にはピークを打ち、人口減・高齢化の局面に入っていくと予測されている。となると、成長率はさらに低下する。2050年には4%前後まで成長率が鈍化するという予測が一般的だ。しかし、それでも日・米などより成長率は高く、2030年までにはアメリカを抜いて、GDPが世界一になるともいわれている。2050年にはアメリカのほぼ2倍になるとの予測もあり、やはりそのパワーは脅威だ。

2015年6月29日

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1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】

榊原英資氏