飛躍の源泉

隣接異業種への挑戦

立教大学経済学部教授(金融論)
山口 義行 氏

アルミサッシなどの建具を施工・販売する愛知県刈谷市のメーナントーヨー住器株式会社。かつては大手メーカーの下請けとして、同業者が滅多に扱うことのないステンドグラスを、本業のサッシの技術を用いてサッシに組み込み納品するというサービスで業績を伸ばしてきた。しかし、「リーマンショック」に続く「トヨタショック」で、その売り上げが一気に2割以上も落ちてしまった。

もっと景気に左右されにくい仕組みをつくりたいと、代表取締役の神谷文崇氏は、ステンドグラスを自社製品としてインターネットで販売。需要の多い18cm角を基本に、デザイン数を増やす。さらにセミオーダー制を導入し、輸入品との差異化を図った。

需要もさほど多くはなく、手間もコストもかかるステンドグラスだが、一生に1度の買い物である住宅に付ける商品。手を抜けば2度と買ってはもらえない。「色ガラスを使わないで」「和風のスリガラスの感じで」などの要望にも丁寧に応えてきた。

現在、ステンドグラスの売り上げは全体の5%、収益の10%にまで成長。また、このオリジナル製品が、本業のサッシの営業でも新規顧客を獲得する強みにもなった。まさに中小企業が挑戦すべき隣接異業種の姿である。

2015年7月27日

メーナントーヨー住器株式会社 :

愛知県刈谷市泉田町城前114-1
【メーナントーヨー住器株式会社 HP】

過去記事一覧

1951年愛知県生まれ。
2001年に立教大学経済学部教授に就任。外務省参与として中小企業の海外展開、 関東経済産業局「新連携支援」政策の事業評価委員長として中小企業連携支援にかかわるほか、企業経営者との勉強会を全国で開催するなど、自ら中小企業支援を積極的に展開。
【山口義行・公式HP】

山口義行