飛躍の源泉

100年マンションの実現を

立教大学経済学部教授(金融論)
山口 義行 氏

「柿渋」―これを塗ると「家」が長持ちするとして、江戸時代から塗装材料として使われてきた。東京都杉並区に本社を置く創業211年の老舗、ヤシマ工業株式会社はこの「柿渋」を販売する問屋だったが、日本の「豊かさづくり」に貢献しようと、マンションやビルの再生リノベーションに取り組んでいる。

多額の住宅ローンを組んで、一生に一度の「買い物」をしても、住み始めれば建物は急速に価値を失っていく。ローンの支払いが重荷になって住宅を売っても、建物に借金を帳消しにするほどの価値がないため、ローンだけが残る。ローンを完済しても、マンションの場合は「建て替え」でお金が必要になる。

そんな住宅の「貧困」を払拭すべく、同社は建物の診断と適切な改修を勧める。住めば住むほど価値を増す100年マンション「ヴィンテージ・マンション」の実現が同社の目標だ。

キーワードは「見える化」。科学的手法で建物の残存寿命を見える化し、改修後は50年間の長期修繕計画とそのための資金計画を策定して建物の未来を見える化する。耐震化、省エネ化、そして配管のメンテナンス・フリー化で、建物価値の引き上げとメンテナンス・コストの引き下げを実現する。日本を「豊か」に! ――同社への期待は大きい。

2015年10月26日

ヤシマ工業株式会社 :

東京都杉並区上井草2-14-3
【ヤシマ工業株式会社 HP】

過去記事一覧

1951年愛知県生まれ。
2001年に立教大学経済学部教授に就任。外務省参与として中小企業の海外展開、関東経済産業局「新連携支援」政策の事業評価委員長として中小企業連携支援にかかわるほか、企業経営者との勉強会を全国で開催するなど、自ら中小企業支援を積極的に展開。
【山口義行・公式HP】

山口義行