飛躍の源泉

着物を海外へ

(独)中小機構
販路支援部
柿沼 文彦 氏

絹糸で織った反物である白生地の卸商として1951(昭和26)年に創業した近江屋株式会社(京都府京都市)は、若年層を中心に着物人口が減少する中、創業60周年にあたる2011年に新たなビジョンマップを策定した。「その時決めた社員の行動指針となる言葉が『うーん、なかなかやるなぁ、といわれる仕事をしよう』『まずはやってみよう』です」。中小機構の販路開拓の支援先である同社代表取締役社長の房本伸也氏はそう語る。

そんな同社の挑戦を示すのが、着物の海外展開だ。「シン」と呼ばれる衣装に代表されるラオスの伝統織物とコラボレーションし、現地の織物工房と共同で和装の帯を開発。日本の織物では表現できない配色や文様で、好評を博している。また、台湾留学生の入社をきっかけに、台北市に店舗兼事務所を設立、着物の販売やレンタルに加え、着付け教室、着付け体験など着物文化の発信拠点として機能している。さらに、世界に2台しかないという大型環状織機から生まれる立体的な「三軸組織」という生地を用いたショールやバッグなどを、ヨーロッパで活躍するデザイナーとともに開発。着物の産地である京都の作り手たちと築き上げてきた信頼関係をもとに、グローバルな展開を次々と続けている。

2015年11月30日

近江屋株式会社 :

京都市下京区烏丸通五条下ル 大坂町394
【近江屋株式会社 HP】

過去記事一覧

1956年東京都生まれ。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)で経営者・経営幹部を対象にマネジメント研修を行う中小企業大学校校長を経て、ビジネスマッチングイベント「新価値創造展」の開催や販路開拓プラットフォーム「Rincrossing」の運営などを通じ、地域中小企業の販路開拓支援に携わっている。
【中小機構 HP】

柿沼文彦