飛躍の源泉

成長の秘訣は「捨てること」

立教大学経済学部教授(金融論)
山口 義行 氏

今や代表的な娯楽のカラオケだが、その施設数は1990年代をピークに減少傾向。大手の大型店による独占が進んでいるためだ。そんな状況の中、2003年設立と後発ながら急成長しているのが、埼玉県さいたま市の株式会社メロ・ワークス。直営とフランチャイズを合わせて計55店舗のカラオケチェーンを運営し、店舗数と売り上げを増やし続けている。その戦略は「居抜き」と「M&A」。不採算店を買い取り、優良店に育て上げているのだ。

不採算店をどうやって変身させるのか―。それは「捨てること。不採算店には『無駄』が多くあり、それらを捨てていくことが優良店への第一歩」と代表取締役の町田佳昭氏は言う。単にコスト管理上の話ではない。無駄が多いということは、その店の特長が不鮮明であるということ。理念や方針が不鮮明なまま経営されてきた結果が「不採算店」なのだ。その店をどんな店にするべきかが明確になれば、「何が無駄」で「何が必要」かが見え、無駄なものを捨てることで店の特長が鮮明化し、「店に行く理由」が生まれる。

中小企業も多角経営を求められる現代。各事業における自社の「売り」を明確にし、「捨てる」ことを通して「本当に必要なもの」を問える“鋭い会社”でなければならない。

2015年12月21日

株式会社メロ・ワークス :

埼玉県さいたま市浦和区高砂2-9-5 さくら草ビル
【株式会社メロ・ワークス HP】

過去記事一覧

1951年愛知県生まれ。
2001年に立教大学経済学部教授に就任。外務省参与として中小企業の海外展開、関東経済産業局「新連携支援」政策の事業評価委員長として中小企業連携支援にかかわるほか、企業経営者との勉強会を全国で開催するなど、自ら中小企業支援を積極的に展開。
【山口義行・公式HP】

山口義行