飛躍の源泉

自社製品開発による飛躍

東京経済大学経営学部准教授
山本 聡 氏

茨城県日立市の株式会社日立技研は現代表取締役社長の鈴木孝雄氏が1967(昭和42)年に創業し、地域の中核企業向けにプリント基板を製作していた。事業は順調で、従業員数は約200人にまで拡大したが、バブル崩壊で主力顧客からの受注が急減、従業員数が5分の1まで縮小したこともあった。

苦境を脱するため、鈴木氏は息子たちと自社製品開発に着手。その成果が、目視検査支援システム「Neoview」である。同システムは部品の検査結果に関して、「いつ」、「誰が」、「何を見て」、「どのように良・不良を判断したのか」がすべて記録されている。そのデータを分析することで、検査のスピードと精度を飛躍的に向上させることができる。

同社内でのプリント基板の検査のために製作した検査装置が原型になっており、鈴木氏が「他社も同じことに悩んでいるのではないか」と考えたのが開発の始まり。同社の技術者は商社をパートナーとしながら、販路拡大のための営業を展開。展示会に積極的に出展し、アフターサービスにも尽力し、現在では同社の売り上げの半分近くを占めている。また、日系企業の海外生産拠点にも輸出している。自社製品の開発で、下請業態の企業から脱却し、国際化まで成し遂げたといえるだろう。

2016年5月23日

株式会社日立技研 :

茨城県日立市東多賀町3-18-7
【株式会社日立技研 HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】

山本聡