日本の問題

地域ブランド

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

ブランド総合研究所が2006年に始めた「地域ブランド調査」の2016年版が発表された。47都道府県と1000市区町村の認知度、魅力度など77項目について約3万人からの回答をまとめたものだ。

都道府県の魅力度ランキングでは、北海道が8年連続の1位。市区町村でも函館市が1位となり、札幌、小樽、富良野の道内各市もベスト10入りして人気の高さを示した。ただし、獲得点数は低下傾向で、他地域との差は縮まりつつある。

一方で最下位は4年連続で茨城県。これに栃木県と群馬県が続いて北関東3県が下位を独占する結果となった。関係者にとっては不本意かもしれないが、中途半端な順位よりは逆手に取りやすいとの声もある。

この1年の出来事では、伊勢志摩サミットが行われた三重県と伊勢市、志摩市、鳥羽市で情報接触度は上がったが、魅力度や観光意欲度にはバラツキがみられた。熊本地震があった熊本県と熊本市、阿蘇市、南阿蘇村でも情報接触度が急伸したが、観光意欲度の上昇はみられなかった。順位に一喜一憂せず、調査結果をどう生かすか、地域の戦略が問われてくる。

2016年11月14日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏