飛躍の源泉

人材育成で多様化に対応

立教大学経済学部教授(金融論)
山口 義行 氏

停滞感が漂う日本経済。期待するのは中小企業が持つ市場の創造力や開拓力だ。隣接異業種への挑戦を繰り返しながら沖縄を代表する企業へ成長を遂げた株式会社オカノは元々、産業用や医療用の高圧ガスを製造・販売する地元の高圧ガスメーカーの販売部門だった。しかし、高圧ガスは右肩下がり。事業の多様化を進めなくてはいずれ限界がくる。そんな危機意識からオカノは独立した。

それからは挑戦の連続。ガスを現場で使うには配管工事が必要。そこでガスの専門家であることを強みに、設備工事業を展開。公共事業の受注を得るまでになる。次に炭酸ガスが消火に使われることから消火器などの防災消防製品を販売。消防車まで販売し、県内で半分以上のシェアを占めている。消防車販売はメンテナンス事業へとつながり、自衛隊の特殊車両や非常用発電機の整備まで担うようになった。医療ガスでのネットワークを基盤に、医療用ベッドの販売にも力を入れ、現在、ガスの売り上げは全体の3分の1しかない。

成功の礎には、「社員教育に惜しまず金を使う」という同社の社風がある。人材育成は先行投資。成果を焦らず長い時間軸でみることが必要だ。そうして育った「挑戦的な人材」が、「挑戦的な会社」を作るのだ。

2017年1月9日

株式会社オカノ :

沖縄県那覇市安謝1-23-8
【株式会社オカノ HP】

過去記事一覧

山口義行(やまぐちよしゆき)氏

1951年愛知県生まれ。
2001年に立教大学経済学部教授に就任。外務省参与として中小企業の海外展開、関東経済産業局「新連携支援」政策の事業評価委員長として中小企業連携支援にかかわるほか、企業経営者との勉強会を全国で開催するなど、自ら中小企業支援を積極的に展開。
【山口義行・公式HP】

山口義行氏