日本の問題

ブランド米

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

2016年産米の食味ランキングが発表された。日本穀物検定協会が米の消費拡大のため1971(昭和46)年から行っており、46回目。141の産地品種がノミネートされ、そのうち44が5段階評価の最上である「特A」にランクされた。特Aが46を占めた前年に次ぐ過去2番目の多さである。

これまでブランド米の王座に君臨してきたのは、新潟県魚沼産の「コシヒカリ」。特Aランクができた1989年から2016年まで唯一特Aを維持してきた。特Aランクのコシヒカリは他の13産地でも生産され最多を占めるが、そのほか、「ひとめぼれ」や「つや姫」など20品種が特Aとなり、産地も北海道から鹿児島まで全国に広がっている。神奈川産「はるみ」と広島産「あきさかり」はランキング初登場で特Aに選ばれた。

今やコシヒカリの一人勝ち状態は崩れ、価格も低迷気味である。1人あたりの米消費量が1960年代の最盛期の半分まで減る中、ブランド米の開発は米農家の生き残り策となってきた。しかし、一方で業務用米が品薄になるなどの副作用も指摘される。ブランド米一辺倒の戦略はそろそろ曲がり角を迎えたようだ。

2017年4月3日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏