日本の問題

世帯減少と住宅着工

富士通総研 主席研究員
米山秀隆 氏

新設住宅着工は、景気回復の初期に上向き、その後の回復を先導する傾向がある。景気後退を受けた金融緩和、すなわち金利低下に、着工が敏感に反応するからである。しかし、景気回復が続き、不動産価格が上昇すると、購入者の取得能力が追いつかなくなり、さらには引き締めによってブームは終わる。

こうして循環的変動を繰り返してきたが、着工数のトレンドは1990年の170万戸超から、最近の90万戸超まで減少し続けてきた。住宅需要の源である世帯数の増勢が鈍化してきたことによる。したがって着工戸数の調整終了後も元の水準に戻ることはなかった。着工数は趨勢的な低下をベースに、その上下で変動してきた。

全国の世帯数が減少に転ずるのは2020年。また、「アベノミクス」で景気回復が続いて不動産価格が上昇し、やがてデフレ脱却も明確になれば、いつまでもゼロ金利が続く状況ではなくなる。その時、住宅着工はブーム終了による循環的落ち込みと、世帯数減少による構造的落ち込みが重なり、90万戸超から一足飛びに60~70万戸の世界に向かっていく可能性がある。

2017年5月22日

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米山秀隆 氏

1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
【富士通総研・研究員紹介】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏