日本の問題

伸び悩む日本企業の経常利益

経済ジャーナリスト
大西良雄 氏

日本経済新聞の集計(5月20日朝刊)によると、3月期決算上場1555社(金融除く全産業)の2018年3月期の経常利益見通しは3.6%増(前期実績10.1%増)となった。事前予想では10%以上の増益が見込まれていたが、期待外れとなった。

一番の期待外れは利益額最大の業種である自動車・同部品だ。稼ぎ頭の米国市場の減速、原材料価格上昇が響くほか、トヨタ自動車を筆頭に1ドル=105円想定の慎重な為替予想も重なり8.8%の経常減益予想となった。前期17.9%の大幅増益を記録した建設も今期4.1%の減益予想と反転した。受注残は豊富だが、鋼材、セメント値上がりや労務費上昇が痛手だ。

一方、自動車・部品に次ぐ利益業種の電気機器はIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の活発化を反映、電子部品、半導体・同製造装置を中心に回復基調が定着、10.2%の経常増益予想だ。

一方、自動車・部品に次ぐ利益業種の電気機器はIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の活発化を反映、電子部品、半導体・同製造装置を中心に回復基調が定着、10.2%の経常増益予想だ。

2017年6月5日

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大西良雄 氏

1945年生まれ。
上智大学経済学部卒業後、東洋経済新報社入社。記者を経て、「週刊東洋経済」編集長、取締役出版局長、同営業局長、常務取締役第一編集局長を歴任。2006年に退任後、経済ジャーナリストとして独立。早稲田大学オープンカレッジ講師も務める。

大西(おおにし) 良雄(良雄)氏