飛躍の源泉

世界の技術動向を吸収

東京経済大学経営学部准教授
山本 聡 氏

大阪府東大阪市の株式会社ヤマナカゴーキンは1961(昭和36)年創業の金型メーカー。常温下で行う精密冷間鍛造金型や、熱を加えて行う温・熱間鍛造金型の製造を得意とする。同社は中国・寧波に2002年に部品製造拠点、2010年に金型製造拠点を設立。2013年にはタイにも部品製造拠点を設立した。中国では欧州系企業とも取引をし、金型業界の中でもグローバル化が際立っている。

3代目となる代表取締役社長の山中雅仁氏は米国オハイオ州立大学大学院で機械工学の修士課程を修了するなど、国際アカデミアに造詣が深い。そのため、国内外の学会・協会活動に積極的に取り組んでいる。

その延長線上として、同社は総合加工シミュレーションソフト「DEFORM」の日本での総販売代理店になり、ドイツで開発されたボルト型センサ「ピエゾボルト」のアジアでの販売パートナーになっている。また、山中氏は、ICFG(国際冷間鍛造グループ)の活動にかかわり、現在は会長も務めている。そうした活動を通じ、金型や鍛造に関する世界的な技術動向を得て、自社経営に生かしている。

企業活動の枠を超えた国内外での外部組織での活動とそこからの知識の吸収が、同社のグローバル展開の礎になっている。

2017年10月16日

株式会社ヤマナカゴーキン :

大阪府東大阪市加納4-4-24
【株式会社ヤマナカゴーキン HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】

山本聡