日本の問題

先進国は低成長・低インフレ

青山学院大学特別招聘教授、元財務官
榊原英資氏

日本をはじめ多くの先進国は成長局面から成熟局面に入ってきている。1人あたりGDPは4万~5万米ドル前後(2016年はアメリカ5万7,608米ドル、ドイツ4万2,177米ドル、イギリス4万50米ドル、日本3万8,883米ドル、フランス3万8,178米ドル)で、平均的には豊かな社会が実現しているといえるのだろう。

このレベルまでくると、成長率は1~2%に低下し(2016年でドイツ1.86%、アメリカ1.49%、フランス1.19%、イギリス1.81%、日本1.03%)、インフレ率も1%を下回る国が多くなっている(2016年で、アメリカ1.28%、イギリス0.66%、フランス0.31%、ドイツ0.38%、日本マイナス0.11%)。

多くの先進国が豊かさを享受し、低成長・ 低インフレの局面に入ってきたといえる。ただ、このところ特にアメリカやドイツで所得格差が大きくなり、発展途上国では貧困が拡大してきている。今後は所得格差問題にどう取り組んでいくかが、日本を含む先進国でも、発展途上国でも大きな問題として浮上し、その対処が求められることになってくるのだろう。

2018年1月22日

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榊原英資 さかきばらえいすけ氏

1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学特別招聘教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】

榊原英資氏