飛躍の源泉

「谷根千」の和菓子店

神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏

最近では平日も人通りが絶えないほどの人気を見せている東京の通称「谷根千地区(谷中・根津・千駄木)」。上野公園から東京藝術大学を抜けると谷中だ。その一角で、風情あるたたずまいを残す老舗和菓子店が谷中岡埜栄泉(おかのえいせん)だ。1900(明治33)年創業の歴史ある和菓子店で、豆大福や、皮にほんのり生姜風味を加え、小倉あんを包んだ焼き菓子「浮草」などが人気だ。

第2次大戦中、伝統の看板を寺に保管してもらい、戦後間もなく深川から木材を集めてきて現在の店舗を建築。その風情ある建物は地元・台東区の「まちかど賞」も受賞した。

店主は4代目となる新島伸浩さん。その伝統を伝える職人技による和菓子の味はもちろんながら、もうひとつ、通りすがりの観光客までを魅了してしまうのが女将の良子さん。 迷っている観光客がいれば道案内、地域のイベントがあれば私設案内所に早変わり。朗らかで明るい女将を頼りにする人が多い。毎年、年末に谷中でイベントを開催する山形県川西町もその魅力に取りつかれ、良子さんを町名産の豆をPRする「マメリエ」に認定した。

上野動物園のパンダの赤ちゃん誕生を祝ってパンダ大福も製造・販売。明るく楽しい老舗和菓子店には多くのお客が訪れている。

2018年2月13日

谷中岡埜栄泉 :

東京都台東区谷中6-1-26
【谷中岡埜栄泉 HP】

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中村智彦氏

1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【凡才中村教授の憂鬱HP】

中村智彦氏