日本の問題

リオリエント―アジアの時代再び

青山学院大学特別招聘教授、元財務官
榊原英資氏

ドイツ・ベルリン生まれの経済学者で、世界システム論を提唱したA・G・フランクが『リオリエント』を書いたのは1998年。日本語訳は2000年に出されている。フランクはこの著書の中で、世界経済の中心が欧米から再びアジアに戻ってきていると論じた。事実、世界経済の中心はアジアに急速に回帰してきている。

2016年の名目GDPでは中国が世界2位、日本が3位、インドが7位とトップ7のうち3カ国がアジアだ。さらにプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の予測によると、2050年にはトップが中国、2位がインド、4位がインドネシアとトップ5のうち3カ国がアジアになるという(日本は8位)。インドが現在2位のアメリカを抜くと予想されているのだ。

実は、1820年の時点では中国が世界のGDPの29%、インドが16%を占めていたと推測されている(アンガス・マディソン著「世界経済の成長史―1820~1992年」、東洋経済新報社・2000年)。つまり、世界経済は19世紀始めごろの中国・インドなどアジア諸国中心の状況に戻っていくというのだ。

2018年3月19日

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榊原英資 さかきばらえいすけ氏

1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学特別招聘教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】

榊原英資氏