日本の問題

“過度の悲観論”から脱却を

大阪経済大学客員教授・経済評論家
岡田 晃 氏

最近、意外にも(!)景気の強さを示すデータが相次いでいる。たとえば公示地価。2018年の全国(全用途平均)の地価は0.7%プラスとバブル崩壊後初めて3年連続で上昇した。地方圏も1992年以来26年ぶりに上昇に転じた。

今年2月の有効求人倍率は1.58倍と、前月より0.01ポイント低下したものの、すでにバブル期を大幅に上回る水準が1年近く続いており、1974(昭和49)年1月以来、約44年ぶりの高水準だ。そのほか「バブル期並み」「リーマン以前に回復」などの経済指標が増えている。

これはアベノミクスの効果の広がり、訪日外国人増加による経済効果などが背景だ。多くの企業は構造改革を進め、最高益レベルの業績を達成している。日本経済はかなり立ち直りつつあると評価できる。

だが、そんな実感はないと言う人が多い。どうやら我々は長年の経済低迷の影響で、物事を過度に悲観的に見るクセがついてしまった気がする。不安定な国際情勢、少子高齢化など不安材料が多いのは確かだが、過度な悲観論からはそれらを乗り切るパワーは生まれてこない。不透明な状況だからこそ、マインドを切り替えてチャレンジ精神を発揮したいものだ。

2018年4月16日

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岡田 晃氏

1947年生まれ。
日本経済新聞社産業部記者、編集委員、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター、経済部長、WBSプロデューサー、テレビ東京アメリカ社長などを歴任し、2006年に経済評論家として独立。同年大阪経済大学客員教授にも就任。

岡田 晃(おかだあきら)