日本の問題

外国人の視点に立った対応

大阪経済大学客員教授・経済評論家
岡田 晃 氏

先日、品川駅から新大阪に向かう新幹線のホームで、ご夫婦らしき外国人旅行者に「京都に行きたいが、この切符で大丈夫か」と聞かれた。見ると、京都までの切符で間違いない。では、なぜ彼らは不安になったのだろう。切符に印字されている文字が日本語だけだったからだ。

最近は訪日外国人の増加に対応して、駅の案内表示や道路標識などでは英語表記が当たり前になるなど、多言語対応が急速に進んでいる。それでも、このようにまだ抜け落ちている部分は多い。

たとえば「○○通り」の英語表記が「○○-Dori」となっているケースが見受けられる。これでは外国人には意味が分からないだろう。

こうした例は私たち自身には気づきにくいのかもしれない。外国人の視点に立てば、まだまだ足りない点や改善の余地はありそうだ。

産業界では多くの企業がユーザーや消費者の視点に立った商品やサービスを開発・提供している。それと同じように、日本全体の顧客である外国人のニーズをきめ細かく取り入れ、今以上にソフト・ハードの両面で対応していくことが必要だ。そのことがインバウンドの経済効果を高めることにつながるのである。

2018年10月9日

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岡田 晃氏

1947年生まれ。
日本経済新聞社産業部記者、編集委員、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター、経済部長、WBSプロデューサー、テレビ東京アメリカ社長などを歴任し、2006年に経済評論家として独立。同年大阪経済大学客員教授にも就任。

岡田 晃(おかだあきら)