スポーツ百話

小学6年の五輪フィギュア選手

男子の羽生結弦選手が冬季五輪で2連覇し、女子でも紀平梨花選手がグランプリファイナルに初出場で優勝するなど、日本が高い実力と人気を併せ持つフィギュアスケート。そのパイオニアともいえるのが戦前の1936(昭和11)年2月、ドイツのガルミッシュ・パルテンキルヘンで開かれた冬季五輪に出場した、当時12歳で小学6年生だった稲田悦子選手。夏冬通じて最年少の日本の五輪代表だ。

稲田選手はこの時の五輪に、白い服に赤いカーネーションを付けた衣装で演技して大きな声援を浴びた(成績は26人中10位)。この衣装を復元したものが秩父宮記念スポーツ博物館に展示されている。

稲田選手は1940(昭和15)年に開かれるはずだった札幌五輪の有力選手として期待されたが、日本が同大会開催を返上したため、出場の機会を失った。戦後は平松(旧姓・上野)純子選手などを育成。2003年に79歳で死去した。
(隔週で掲載します)

2019年2月4日