日本の問題

オリンピック後の景気

学習院大学国際社会科学部教授
伊藤元重 氏

東京オリンピック後の日本の景気は大丈夫だろうか。そんな疑問を投げかけられることが多い。

オリンピック開催までは建設工事やインバウンドの需要があり大丈夫だろう。しかし、オリンピック後は需要が急落して、日本経済は厳しいことになるのではないだろうか。そう考える人がいても不思議ではない。過去にもオリンピック後に景気低迷に陥った国は多くあり、日本も十分警戒する必要はあるだろう。

とはいえ、オリンピック後に必ずしも景気が悪くなるとは限らない。ロンドンオリンピック後、英国への海外からの旅行者は減少しなかった。オリンピックの最中は飛行機も取りにくいし、ホテルも高額になる。敬遠する海外旅行者もいるだろう。オリンピックで海外からの注目が集まったこともあって、オリンピック後に多くの観光客が来たようだ。この条件は日本も同じだ。

では、オリンピック後、建設需要が減るという説はどうだろうか。不動産業界の人からよく聞くことだが、オリンピックの準備などもあり、建設工事は全体に遅れ気味である。つまり、しばらくは建設需要は十分に残っているということだ。

こう考えると、オリンピック後の日本経済の見通しには、楽観と悲観の両面がある。リスクに注意する必要はあるが、オリンピックが始まってもいない今から過度に悲観的になる必要はないだろう。

2019年12月2日

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伊藤元重 氏

1951年生まれ。
米国ヒューストン大学経済学部助教授、東京大学経済学部助教授などを経て1993~2016年東京大学の経済学部と大学院経済学研究科の教授を歴任。2007~2009年は大学院経済学研究科研究科長(経済学部長)。現在、学習院大学国際社会科学部教授、東京大学名誉教授。
【伊藤元重研究室】

伊藤元重(いとう もとしげ)