100号記念

元気das®bizは2015年4月にリニューアルスタートし、本2月第4号で通巻100号を迎えることができました。これもひとえに皆様のご愛読の賜物です。
今後さらに内容を充実させ、読み応えのある紙面を目指していきますので、引き続きご愛読いただきますようお願い申し上げます。

(「元気das®biz」編集室一同)

100号記念

国家戦略特区を活用して地域ぐるみで浮揚を図る

東洋大学副学長・経済学部教授
松原 聡

国内では労働力の減少傾向が顕著になってきました。有効求人倍率はアップし、賃金も上昇傾向にあります。中小企業にとって人材難と人件費の高騰が経営を圧迫する要因となりつつあります。

ただし、賃金上昇は一方で、黒田東彦・日銀総裁がなかなか実現できないでいる「インフレ目標2%」の達成を後押しするかもしれません。賃金上昇が消費を活発化させる好サイクルが生まれてくる可能性もあると考えています。

「デフレマインド」は多くの人々が将来に不安を感じ、思考が縮こまった状態ですが、その逆の「インフレマインド」は消費者の心理的にもプラス。名目ベースの数字(売上高や利益など)が評価基準となる企業にとってもメリットは大きいでしょう。

自治体の背中を押して挑戦を

とはいえ、中小企業、中でも地方の中小企業は今後も厳しい状況が続きそうです。そこで、ひとつの方法として国家戦略特区の活用を検討してはどうでしょう。

国から特区に認定されれば、地域限定で規制の緩和が認められます。たとえば、兵庫県養父市では「中山間農業改革特区」として企業による農地の取得・営農が可能になりました。また、福岡県福岡市・北九州市は「グローバル創業・ 雇用創出特区」として、外国人による創業活動の促進(福岡市)、介護ロボットを活用した介護人材の負担軽減・介護の質向上の実証(北九州市)などを展開しています。

1社では難しくても、地域ぐるみで取り組めば、地域経済の浮揚や人材確保につながることも期待できます。中小企業経営者が自治体の背中を押して、国家戦略特区に取り組む。そうした挑戦をしてみる価値があるのではないでしょうか。

松原 聡 まつばらさとる氏

1954年生まれ。
1996年から東洋大学教授。 経済政策、特に民営化、規制緩和を専門にし、「朝まで生テレビ!」などのテレビ番組でも積極的に発言。小泉内閣の郵政改革にもかかわり、郵便事業株式会社取締役、日本公共政策学会会長などを歴任。
【松原 聡 DIGITAL SPACE】

松原聡氏

高成長が続き、人口も増加を続けるインドに要注目

青山学院大学特別招聘教授、元財務官
榊原英資氏

日本経済の今を語るキーワードは「成熟」と「グローバリゼーション」の2つ。日本は高度成長、安定成長時代を経て成熟時代に入りました。今後は1%前後の成長しか見込めないと思いますが、それで十分やっていけるほど、豊かな国になっていると思います。

ただし、企業が高い成長を求める場合、1%以上の成長をほぼ見込めない国内市場だけをみていては厳しいでしょう。海外、とりわけ新興国を見据えてビジネスを展開するしかありません。

最近はアメリカのトランプ政権の動きにばかりスポットが当たっていますが、それだけでなく、世界がどう動くのか、注意深く見守っていく必要があります。

新興国では、中国が一時ほどの勢いがなくなり、これまでのような高成長は期待できないでしょう。そんな中、インドは高成長を維持し、かつ人口も生産年齢人口も増え続けます。まだまだこれから伸びる国といえ、要注目です。

州によって異なる制度に注意

ただし、インドは何ごとにつけ難しい国です。まず、物事がトップダウンで決まることが多いので、日本企業の場合も現地に職位の高い人を置いておかないと、なかなか話が進展しません。

また、インドはアメリカ以上ともいえる連邦国家で、州によって制度が違い、政権政党も違います。州知事の権限も強いので、どの地域でビジネスをするかによって、やり方は全然異なってきます。

ただ、幸いにして対日感情はいい国ですし、近年は流通の規制緩和も進んできましたから、製造業だけでなく、サービス産業も含めてインドでビジネスを展開するチャンスはあります。まずは相手をよく知ることが大事です。

榊原英資 さかきばらえいすけ氏

1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学特別招聘教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】

榊原英資氏