スポーツ百話

唯一の五輪で最強を証明

今なお「史上最強の柔道家」との評価を受け、1984(昭和59)年には史上5人目となる国民栄誉賞を授与された柔道家の山下泰裕氏(現全日本柔道連盟会長)。最後の公式戦となった1985(昭和60)年4月の全日本選手権で優勝して最長不倒記録となる9連覇を成し遂げるまで、引き分けを挟んで203連勝という偉業をも達成した。

そんな山下氏だが、日本が1980(昭和55)年のモスクワ五輪をボイコットしたこともあり、実は五輪に出場したのは1984年のロサンゼルス五輪1回のみ。山下氏は同大会途中で右足に肉離れを起こす不利な状況の中、順調に勝ち進み、決勝でモハメド・ラシュワン氏(エジプト)と対戦した。強気で攻め立てるラシュワン氏の一瞬のすきをついて、寝技に持ち込み、横四方固めで一本勝ち。唯一出場した五輪でオール一本勝ちによる金メダルを獲得し、最強の柔道家であることを証明した。 (隔週で掲載します)

2018年4月2日


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