きらめき企業

富士山麓でIoT・AI・ソーシャルメディアを活用して酪農を展開

西武文理大学サービス経営学部教授
藤野 洋 氏

富士山麓の朝霧高原で約500頭の牛を肥育し、生乳生産を行う朝霧メイプルファーム有限会社(静岡県富士宮市)。最大の特徴は、3代目代表取締役社長の丸山純氏が中心となって導入した、IoT(モノのインターネット)とAI(人工知能)を駆使した乳牛管理とソーシャルメディアの活用による組織運営である。

前者は、牛の首輪に内蔵した各種センサーが牛の行動(採食・反芻・横臥の回数など)を計測してAIシステムで解析することで健康と繁殖に関する情報を収集して牛への処置を行う。後者は、システムから得た牛に関する情報などをソーシャルメディアで共有して各従業員が迅速に対応する。これらの結果、牛の死産や疾病の削減につながっている。

こうした近代的な酪農を可能にしているのが300以上のマニュアルで、それをソーシャルメディアで従業員が作業現場で確認できる。また、全従業員がマニュアル作成に参画するなど、人材育成にも尽力する。

ウクライナ問題や円安、新興国の畜産需要増などを背景に飼料価格が上昇傾向にあるが、丸山氏は「自給飼料を増産し、外的要因に左右されにくい経営を目指すとともに、消費者の信頼を得て乳製品に対する愛を育んでいきたい」と語る。

2024年3月11日

朝霧メイプルファーム有限会社

静岡県富士宮市根原241-5
【朝霧メイプルファーム有限会社 HP】

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藤野洋氏

1962年生まれ。
商工中金を経て2010年から商工総合研究所に勤務。主任研究員として中小企業の産業・金融構造の調査研究に従事。2014年に一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻博士課程を修了。2020年より西武文理大学サービス経営学部教授。専門は中小企業論、CSR·SDGs、企業統治など。

藤野洋