きらめき企業

消費者ニーズを商品化する
調味料のパイオニア企業

駒澤大学経済学部准教授
大前 智文 氏

静岡県焼津市でしょうゆ・たれ・つゆ、食料品の製造・販売を営む静岡県産醤油株式会社。近代的・衛生的なJAS(日本農林規格)認定工場を有し、小ロットの顧客要求商品まで対応可能なしょうゆメーカーだ。

近年では「旨味だれ」(万能だれ)や「51歳からのおしょうゆ」(低塩分しょうゆ)など、消費者ニーズに対応したオリジナル商品が好評を得ている。

1971(昭和46)年、静岡県内17のしょうゆ醸造所が近代化のために静岡県産醤油協業組合を設立。組合工場は量産型しょうゆ生産工場として稼働し、各組合員のブランドで販売された。2000年代以降は消費停滞などに危機感を抱いた現代表取締役の鈴木良彦氏が経営改革を断行。2009年、株式会社に組織変更し、自律的な事業経営と販路の拡大を志向した。また、安売り競争に見切りをつけ、「自分たちが食べたいおいしい商品」、「大切な人にプレゼントできる商品」という基本に立ち返った商品開発に成功し、消費者ニーズの追求に活路を見いだした。

鈴木氏は「誇りをもって仕事をする従業員の力を結集させることでしょうゆメーカーの枠を超えて醸造・発酵業としての可能性を広く追求していきたい」と話す。

2022年10月31日

静岡県産醤油株式会社

静岡県焼津市高新田80-1
【静岡県産醤油株式会社 HP】

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大前智文

1982年愛知県生まれ。
名城大学経済学部特任助手、岐阜協立大学経営学部講師を経て、2021年4月から駒澤大学経済学部准教授。日本中小企業学会第14期理事。フットワークの軽さを信条として、理論と現実との絶え間ない行き来から中小企業に関する調査・研究に取り組む。

大前智文