きらめき企業

営業担当から始め全社に拡大
テレワークの先駆的中小企業

東洋大学経営学部教授
山本 聡 氏

1986(昭和61)年創業の株式会社スリーエスは、プラント用バルブの制御装置「バルブポジショナ」の専業メーカー。同装置は工場などのプラントで、バルブを制御することにより配管の中の液体や気体の量を調整する精密機器。「産業界の縁の下の力持ちであることが誇り」と、大手金融機関などの勤務を経て入社し、代表取締役に就いた吉田秀樹氏は話す。

東京都北区の住宅街に本社工場を置く同社はスマートポジショナという新商品を開発。海外展開にも積極的で、今ではアジアを中心に40カ国以上のプラントにバルブポジショナを供給、海外売上高も急伸している。

吉田氏がもうひとつ熱心に進めているのがテレワーク。新型コロナウイルスの感染拡大のずっと以前から取り組んでおり、「先駆的な中小企業」として、公的機関やマスメディアに頻繁に取り上げられている。吉田氏は当初、地方出張が頻繁な営業担当者の負担軽減のためにテレワークを開始し、その成果を踏まえ、従業員全員が「自分にとっての最適な働き方」を実現できるようにと、会社全体に拡大した。

「会社の事業は社員を幸せにするための手段」と話す吉田氏。その想いが、テレワークなどの戦略に如実に反映されている。

2021年1月25日

株式会社スリーエス

東京都北区浮間2-6-7
【株式会社スリーエス HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所、東京経済大学経営学部専任講師・准教授を経て2019年4月から東洋大学経営学部教授 (担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。

山本聡