きらめき企業

久米島から良酒を発信して
泡盛需要の盛り上げを目指す

玉川大学
経営学部准教授
長谷川 英伸 氏

沖縄県・久米島の米島酒造株式会社。 1948(昭和23)年に創業、蛍が生息する白瀬走川 (しらしはいかわ) の水を使って「美ら蛍」などの泡盛を醸している。泡盛は沖縄の気候に適した黒麹を使用し、1年を通して製造が可能な酒である。

手作業による酒造りにこだわる同社が製造した泡盛は、その約8割が地元の久米島で消費されており、地産地消を実践。度数は25~40度とバリエーションが豊富で、味わいも多様だ。 2019年のG20大阪サミットでは同社の泡盛「久米島 35度」が提供品の泡盛7種のうちの1種に選定。第1回酒屋が選ぶ焼酎大賞の泡盛部門では「星の灯 25度」が大賞を受賞した。

だが、順風満帆の歴史を歩んできたわけではない。泡盛の出荷が順調に推移していた1967(昭和42)年には経営危機を招来。味の質が変わった泡盛をそのまま出荷し、顧客の信頼を失ったのだ。その反省から酒質の更なる向上を目指して、こだわりの商品を生み出し続けている。

20歳のころから泡盛の製造や研究に取り組んできた4代目の田場俊之氏は「出荷量が減少傾向にある泡盛の消費を増加させるには同業他社との連携や若い世代に泡盛の魅力を知ってもらうことが重要」と考え、新たな模索をしている。

2023年4月24日

米島酒造

沖縄県島尻郡久米島町大田499
【米島酒造 HP】

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プロフィール 長谷川英伸

1982年生まれ。
2013年玉川大学経営学部助教、2018年から准教授。専門分野は中小企業の企業間関係。特に中小企業間のネットワークから生み出される新製品、新サービスのプロセスについて分析し中小企業の存立維持可能な要因を模索している。中小企業経営のセミナーなどの講師も務める。

長谷川英伸