日本の問題

インバウンド

九州国際大学非常勤講師
荒田英知 氏

2013年に1000万人を突破したインバウンド(訪日外国人旅行者)はその後も増加を続け、2017年は約2,800万人超に達した。政府は2020年に4,000万人、2030年には6,000万人という強気の目標を掲げている。

この流れを受けて、各地でインバウンドを地域経済に取り込もうとする動きが活発化している。観光DMOと呼ばれる、地域で観光振興の司令塔となる組織が相次いで立ち上げられ、その数は全国で120を超えた。

関係者が着目するのは、客数もさることながらその消費額だ。2017年には総額4兆4千億円を突破し、今後も大きな伸びが期待される。

従来、訪日客は東京~関西のゴールデンルートを好むため、消費額も東京と関西に偏る傾向があった。しかし、日本経済新聞が2017年の消費額を都道府県別に推計したところ、北海道、沖縄県、福岡県などでより大きく伸びていることがわかった。

北海道のスキーリゾートでは、定住する外国人も目立つようになった。沖縄は大型クルーズ船の誘致でハワイを上回る誘客に成功した。インバウンドをめぐる地方の取り組みには、まだまだ伸びしろがありそうだ。

2018年4月23日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2017年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏