日本の問題

コンパクトシティ化

富士通総研 上席主任研究員
米山秀隆 氏

人口が本格的な減少局面に入る中、成長期に外縁部に拡散した市街地を縮減し、中心市街地に居住を誘導することで、住みやすいまちに変えていく必要性が高まっている。コンパクトシティ化の推進である。

都市機能がコンパクトに集約されれば、高齢化が進む中、高齢者にとっては歩いて暮らせる利便性の高いまちとなる。一方、自治体にとってコンパクトシティ化を図らざるを得ない事情として、財政状況がますます厳しくなる中、すべての地域の道路や下水道などのインフラを維持更新していくのが困難になっているということもある。

そのための手段として、2014年8月に施行された「改正都市再生特別措置法」では、自治体が、まちの中心部に福祉・医療や商業施設を集める「都市機能誘導区域」と、まとまった居住地域を残す「居住誘導区域」を指定できるようになった。これに加え、このほど閣議決定された「国土利用計画」では2025年の住宅地面積の目標を2012年と同じとし、伸び率をゼロとした。住宅利用を抑制することを初めて打ち出し、コンパクトシティ化を推進していく方針が強く示された。

2015年9月7日

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1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
【富士通総研・研究員紹介】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏