飛躍の源泉

こだわりの技術で市場を開拓

東京経済大学経営学部准教授
山本 聡 氏

福島県西白河郡の有限会社エスクは新合金や難加工材、レアメタルといったあらゆる素材に対応可能な、医療機器や電子機器、自動車部品などの開発メーカー。現社長の高畠伸幸氏はブラウン管の電子銃用のパイプを製造する企業の技術者だった。そこで培った経験・技術をもとに、2000年に創業した。

社名のエスク(ESQ)は「Eco Friendly」、「Specialty」、「Quality」の3つの言葉の頭文字に由来する。技術に対する強いこだわりを持ち、それが顧客の評価につながっている。抽伸加工(引き抜き加工)のオーソドックスな設備を用いて、少量多品種の様々な注文に対応し、技術を磨いてきた。

創業後ほどないころに依頼を受けたドイツ系自動車部品企業向けのステンレス細管の試作・製造では、試作品を見た顧客が「きれいすぎる」と絶賛。独自の加工方法で、それまで必ず生じていたバリを皆無にしたのである。

2011年にドイツの医療機器展示会に出展すると、来場者から「名刺交換の依頼」や「サンプルを見せて欲しい」という引き合いが殺到。高畠氏は海外市場における自社の高評価を認識し、継続的に海外展示会に出展。その過程で、ポーランドやドイツの医療機器企業との取引も始まり、海外輸出が増加している。

2015年10月19日

有限会社エスク :

福島県西白河郡矢吹町一本木162番地3
【有限会社エスク HP】

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1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】

山本聡