日本の問題

分譲マンションの老朽化

富士通総研 上席主任研究員
米山秀隆 氏

分譲マンションの総戸数は全国で613万戸(2014年末現在)に達し、居住者は1500万人以上と推計される。今後深刻化すると予想されるのは、マンションの老朽化の進展である。築40年超の物件は、2014年末現在で約44万戸であるが、20年後には約277万戸に急増する。

マンションは時間の経過とともに建物の老朽化に加え、区分所有者の高齢化も進んでいく。いわゆるマンションの2つの老いである。それに伴い、管理が行き届かなくなる物件が増えていく。築40年を超えると空室率も高まっていく。最悪の場合、スラム化が進展し、倒壊の危険が高まるなど、周囲に悪影響を与える可能性も出てくる。

現在は空き家問題といえば一戸建てが中心だが、近い将来、マンションの空き家問題が深刻化していく可能性がある。全国のマンションの4分の1が集積する東京都では、こうした危機感から、マンション管理の適正化を図るための条例を定めることを検討している。今後は、区分所有者の責任がより一層問われるようになっていく。

マンションを購入する際には、こうした自覚が必要になる。

2015年11月16日

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1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
【富士通総研・研究員紹介】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏