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『破船』
(吉村昭、新潮文庫刊)

『関東大震災』、『破獄』などの記録文学や歴史文学で知られる吉村昭(1927~2006年)が1980(昭和55)年から翌年にかけて雑誌に連載した長編小説(単行本化を経て文庫化)。江戸時代、北国の寒村を舞台に海からやってきた疫病の恐怖を描いた。2022年本屋大賞の「発掘部門」で「超発掘本!」に選ばれた。

日本海に面した貧しい寒村。村人たちは夜間、浜辺で行う「塩焼き」の明かりで引き寄せた船を難破させ、乗員を殺して積み荷を奪い、生活の足しにしていた。村人が「お船様」 と呼ぶ難破船だが、ある年に難破した船は積み荷がほとんどなく、乗員は全員死んでいた。村人たちは死体が身につけていた赤い服を分配するが…。

推薦した書店員は「衝撃的です。なぜこれまで映画化されてこなかったのかが不思議なほど、面白い作品」とコメントしている。

2022年5月16日

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