日本の問題

先細る太陽光発電

経済ジャーナリスト
大西良雄 氏

太陽光発電協会によると、2017年度の太陽電池の総出荷量は前年度比約17%減少、3年連続の減少でピークの2014年度に比べ約43%減った。事業用の大規模太陽光発電の新設一巡に加え、固定価格買取制度の価格下落が響いたようだ。

住宅用の10kW未満の太陽光発電を例にとれば、2009年度に1kWあたり48円だった買取価格 は2019年度24円(出力制御対応機器設置義務なし)と半値に下落した。今後も買取価格が低下する一方、設備コストは下げ渋る傾向にあり、うまみが薄れて新設のインセンティブは低下。住宅用は余剰電力買取保証の10年間(10kW以上の事業用は20年間)が過ぎる2019年度以降順次、電力会社の買取義務がなくなる問題もある。

太陽光発電の買取価格は市場価格より高く、電力会社の買取費用が2017年度で2.7兆円にも上り、これは賦課金として電気料金に上乗せされ国民負担となっている。経済産業省はこの国民負担の拡大を回避するためドイツなどに比べ割高な発電コストを引き下げる一方、2020年度以降に固定価格買取制度を見直す方向だという。

そのうえで経産省は太陽光などの再生エネルギーを「主力電源化」する方針だが、うまみが薄れ新設動機が鈍る中、それは可能だろうか。

2018年6月11日

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大西良雄 氏

1945年生まれ。
上智大学経済学部卒業後、東洋経済新報社入社。記者を経て、「週刊東洋経済」編集長、取締役出版局長、同営業局長、常務取締役第一編集局長を歴任。2006年に退任後、経済ジャーナリストとして独立。早稲田大学オープンカレッジ講師も務める。

大西(おおにし) 良雄(良雄)氏