日本の問題

急増する民泊

富士通総研 上席主任研究員
米山秀隆 氏

訪日外国人の増加に伴うホテル不足が深刻化しているが、これに対し、マンションなどの一般住宅に旅行者を有料で宿泊させる民泊が急増している。有料で宿泊させるには、旅館業法が定める条件を満たす必要があるが、多くは違法状態となっている。

現在でも、国家戦略特区では旅館業法の適用を除外する仕組みがあり、これに基づき東京都大田区などでは、合法的な民泊サービスが開始される予定である。ただ、特区では、旅館など既存の宿泊施設との競合を避けるため、7日以上の宿泊に限るなど条件が厳しい。

民泊については、届け出制などの緩やかな規制にとどめ、広く認めるべきとの主張がある。旅館業界などはこれに強く反発しており、原則的には、旅館業法における「簡易宿所」(ゲストハウスやカプセルホテルなど)の基準を適用し、営業許可を与えるようにすべきと主張している。このほか、民泊では、仲介する事業者の規制も必要との意見もある。

急増する民泊にルールが追いつかない状態になっており、満たすべき基準を整理し、早急に法整備する必要が高まっている。

2016年1月11日

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米山秀隆 氏

1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
【富士通総研・研究員紹介】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏