日本の問題

外国人労働者

九州国際大学非常勤講師
荒田英知 氏

政府がこの6月に決定した「骨太の方針2018」で外国人労働者の受け入れ拡大が打ち出された。これまで原則として高度な専門技能を持つ人に限っていた在留資格を、建設、農業、宿泊、介護、造船の5分野に広げるというものだ。

すでにコンビニエンスストアや建設、施設農業や水産加工など様々な職種で外国人の働き手が欠かせなくなっている。しかし、本来は就労が目的ではない留学生や技能実習生が、安価な労働力として利用されているとの批判も根強かった。新資格の創設で、こうした実態が是正に向かうことが期待される。

OECD(経済協力開発機構)の統計では、日本への外国人移住者は年間約43万人(2016年)に上り、ドイツ、アメリカ、イギリスに次いで多い。しかし、永住や家族の帯同に関する制度上のハードルは高く、移民受け入れではないというのが政府の立場だ。

労働力の逼迫は今後も続く。外国人頼みには限界があり、高齢者をはじめとした、日本に住む私たち自身の働き方改革に加え、AI(人工知能)やロボット技術を駆使した生産性向上など、日本ならではの「合わせ技」で人口減少社会を乗り切っていくことが求められている。

2018年7月17日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2017年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏