飛躍の源泉

超硬金型を武器にタイで展開

東京経済大学経営学部准教授
山本 聡 氏

東京鋲螺(びょうら)工機株式会社は、主に冷間鍛造加工(常温下の鍛造加工法)やプレス加工で使用する超硬金型を製作。ダイヤモンドの次に硬いとされる超硬合金を使った金型は加工が難しいが、同社は独自の製造法による超硬金型「Tokyo-ACE」の製造に成功し、国内外で取引を拡大している。

事業承継上の問題から2006年に廃業の危機を迎えた同社を買い取り、経営に革新をもたらしたのが、現代表取締役社長の高味寿光氏。売り上げの 90%近くを占めていたパソコンや携帯電話用などの小ねじの金型の売り上げが、リーマン・ショックを機に急減。高味氏は新規顧客獲得のため、難加工技術展への出展や大学との産学連携といった多面的な活動を展開し、その延長線上で、長寿命の超硬金型「Tokyo-ACE」の製造に成功した。

輸出が全体の売り上げの4分の1を占める同社は、タイを主とした東南アジア、中国の現地企業とも取引している。2014年2月にはタイに子会社も設立し、2015年8月には日系企業向けの超硬金型製作技術のショールームとすることを企図し、タイ工場も稼働させた。そこでは、最先端の放電加工機を導入し、同社の核となる技術を展開している。

2015年12月7日

東京鋲螺工機株式会社 :

埼玉県新座市野火止7丁目13-3
【東京鋲螺工機株式会社 HP】

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1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】

山本聡