飛躍の源泉

時間を買ってもらう

明治大学経営学部教授(中小企業研究)
岡田浩一 氏

2001年設立の株式会社クロスエフェクト(京都府京都市)が作る光造形の臓器は、医療分野で重要な役割を果たしている。紫外線レーザー照射で樹脂を硬化させ、データどおりの形状にしていく。MRIなどの医療データから作られる臓器は内部や患部まで忠実に再現することができ、研究、教育、手術シミュレーションなど用途も多様である。

外科手術においてシミュレーションのあるなしは、手術の精度を高めること、成功率を高めることにつながっている。特に乳幼児や小児の手術では臓器が小さいため、その難度も高く、シミュレーション用の臓器の重要性は高い。さらに、緊急性が高く、急いで作ってほしいというオーダーに応えられるかということも重要なポイントになる。

「急いでほしい」というニーズは、まさに「時間を買いたい」というニーズに置き換えて考えることができる。クロスエフェクトは、そうした顧客のニーズに対し、「顧客にとっての最大の価値を提供する」、「顧客の望むカタチを世界最速で具現化する」を使命としてものづくりに取り組んでいる会社だ。3Dプリンターや同業他社との競い合いもある中、「時短」を求めるニーズに応え、「世界最速」で顧客の求めるカタチを提供し続けている。

2016年1月11日

株式会社クロスエフェクト :

京都府京都市伏見区南寝小屋町57
【株式会社クロスエフェクト HP】

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プロフィール 岡田浩一

1962年新潟県生まれ。
2001年に明治大学経営学部教授に就任。専門分野は中小企業経営論。ロンドン大学ロイヤルホロウェイ客員研究員、日本中小企業学会理事、中小企業IT経営力大賞選考作業部会長、攻めのIT経営中小企業百選選定委員長。主な著書に「中小企業のIT経営論」など。

岡田浩一