日本の問題

北海道新幹線

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

3月26日に北海道新幹線の新青森~新函館北斗間が開業する。東京~新函館北斗間は最速で4時間2分。青函トンネルを抜けて、新幹線が北の大地を疾走する時代が幕を開ける。

函館市を中心とした道南地域は、新幹線の波及効果に大きな期待を寄せる。過去、山陽新幹線の岡山や東北新幹線の盛岡などで、全線開業までの間に「終着駅」となっていた時期に、企業立地や商業機能の集積が進んだことが知られているからである。

しかし、新函館北斗駅が函館市中心部から離れていることや、東京間を結ぶ列車が1日10本しかないことから、効果は限定的との見方もある。新幹線を地域浮揚につなげられるか、関係者の手腕が問われている。

一方で、北海道民の悲願は札幌までの延伸である。すでに工事も始まっており、当初計画を5年前倒しして2030年度に開業する方針が年明け早々に決まった。

東京~札幌間の所要時間は約5時間で、航空機利用の優位は揺るがない。東京圏との結びつきが強い北海道が、東北など沿線地域との関係を強化できるかが、北海道新幹線の行く手を左右しそうだ。

2016年3月14日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏