廃校利用
九州国際大学非常勤講師
荒田英知 氏
								荒田英知 氏
少子化による児童生徒数の減少や市町村合併の影響を受けて、全国的に廃校が増加している。文部科学省によれば、2015年度までの14年間に公立の小・中・高等学校のうち6,811校がその歴史に幕を下ろした。過疎地のみならず都市部でも拍車がかかっている。
施設が現存する廃校のうち、約7割は新たな用途に転用されている。地域の体育館や公民館などの社会教育施設や、福祉施設や保育所など行政関連の施設に生まれ変わった例が多い。
最近ではユニークな活用策が目立つ。学校というアイデンティティを生かした体験型の交流・宿泊施設が各地で人気を博している。あるいは企業が注目し、日本酒やワインの醸造所、高級魚の養殖場や植物工場、サテライトオフィスやレコーディングスタジオなど全く異なる用途で蘇らせる例も出てきた。
学校の建物は大きな間取りで頑丈につくられているため、リノベーション(改修)の余地が大きい。また、安全な場所にあり地域住民の心の拠り所であったことも見逃せない価値だ。廃校利用に唯一絶対の策はない。それだけに、地域を再生しようとする熱意や創意を測るバロメーターともいえるだろう。
2018年9月3日

- トランプ政権の保護主義
 (2018年4月2日)
- 第4次産業革命、日本の可能性
 (2018年4月9日)
- “過度の悲観論”から脱却を
 (2018年4月16日)
- インバウンド
 (2018年4月23日)
- 初任給の底上げと格差
 (2018年5月1日)
- 「高圧経済」の功罪
 (2018年5月7日)
- デジタル・トランスフォーメーション
 (2018年5月14日)
- 景気の読み方
 (2018年5月21日)
- 明治150年に学ぶ“日本の底力”
 (2018年5月28日)
- 民泊新法
 (2018年6月4日)
- 先細る太陽光発電
 (2018年6月11日)
- 景気拡大の持続性
 (2018年6月18日)
- 米国の主張する「FFR」
 (2018年6月25日)
- イスラエルにて
 (2018年7月2日)
- 危機を乗り越え強くなった日本企業
 (2018年7月9日)
- 外国人労働者
 (2018年7月17日)
- 進まぬ老朽水道管の更新
 (2018年7月23日)
- 空き家ビジネス
 (2018年7月30日)
- ステルス・テーパリング
 (2018年8月6日)
- 新しい働き方
 (2018年8月20日)
- 観光で広がる経済成長の裾野
 (2018年8月27日)
1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2017年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。 
							

 
						
