日本の問題

ゆるキャラ

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

地方自治体や企業・団体の活動をPRする「ゆるキャラ」が全国で増殖を続けている。「ゆるいマスコットキャラクター」を意味するそのブームの火付け役は2006年に滋賀県彦根市で誕生した「ひこにゃん」とされる。かぶとをかぶった白い招き猫の姿は、たびたび見たことがあるはず。

ブームを加熱させたのは熊本県の「くまモン」である。2011年のゆるキャラグランプリで初代王者に輝くと、その名を海外までとどろかせるようになった。利用許諾を簡略化して、グッズ販売などの波及効果を高めたことも見逃せない。

その後、グランプリは「バリィさん」、「さのまる」、「ぐんまちゃん」と続き、2015年には浜松市の「出世大名家康くん」が射止めた。家康くんは2013年に2位に甘んじた際に、ちょんまげを落として出家した経緯があり、悲願の受賞となった。

今や、ゆるキャラグランプリのエントリー数は1700を超えた。その中で全国区の知名度を得ることができるのはごく一部に限られる。費用対効果を疑問視する声もあるが、ゆるキャラならではの発信力は他に代えがたいものがある。

2016年5月9日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏