日本の問題

鳥獣被害

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

今年は野生のクマが出没したというニュースが相次いでいる。中には人が襲われた例もある。クマ以外にも、シカ、イノシシ、サル、ハクビシンなどの野生動物が田畑の農作物を食い荒らす鳥獣被害が全国的に拡大している。

これは長らく続いた人間と野生動物の棲み分けが壊れたことを意味する。山間集落の過疎化や耕作放棄地の増加、温暖化や猟師の減少などが重なり、被害額は申告されただけで200億円を超える。

対策としては、侵入防止柵や緩衝帯の設置、追い払いや捕獲などを地域ぐるみで行うことなどが効果的とされる。成功事例を共有するシンポジウムなども行われているが、イタチごっこの様相だ。

捕獲して個体数を管理することが抜本策になるが、問題は処分の仕方。期待されるのが「ジビエ(狩猟肉)」としての利用である。シカ肉やイノシシ肉はフランス料理では定番で、低脂肪でヘルシーなメニューとして各地でレシピ開発が進む。

農山村の過疎化が進む中で、かつての姿に戻すことはできない。時代の変化に即して、新たな共存策を模索するしかなさそうだ。

2016年8月22日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏