日本の問題

スーパー・シティをつくろう

東洋大学国際学部教授・慶應義塾大学名誉教授
竹中 平蔵 氏

AI(人工知能)、ロボット、ビッグデータなどを組み合わせる形で、従来とは全く違った経済社会が生まれつつある。いわゆる第4次産業革命だ。その流れが、都市空間全体の管理・マネジメントへと移行している。つまり、第4次産業革命を体現した都市…、「スーパー・シティ構想」だ。

自動車の自動走行の例で考えてみよう。いうまでもなく自動車の技術は重要だ。しかし同時に、道路情報や近隣施設のビッグデータ整備なども重要になる。道路はどのような状態か、横断歩道はあるか、近くに小学校や幼稚園はあるか…。

すでにアメリカのグーグルはカナダのトロントを「グーグル化」すると発表した。一方、中国では北京から約100㎞離れた雄安に、21世紀の新都市がつくられつつある。イメージ的には、スーパー・シティ内の移動はすべて自動走行が可能で、決済・支払いはすべてキャッシュレス、引っ越しの届け出などで一度役所に行けば運転免許や銀行口座など自動的に変更が完了する、といったことができる都市空間をつくることだ。

日本政府も動き出した。重要なのは、包括的な規制改革を行う仕組みをどうつくるか、そしてビッグデータの活用について個人情報保護との関係で住民のコンセンサスをどう取り付けるか、だ。

2018年12月25日

過去記事一覧

竹中平蔵 氏

1951年生まれ。
ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学教授などを経て2001年の小泉内閣発足後、経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣などの閣僚を歴任。現在、東洋大学国際学部教授、慶應義塾大学名誉教授。政府の各種会議のメンバーも務める。
【竹中平蔵公式ウェブサイト】

竹中平蔵(たけなか へいぞう)