日本の問題

中小事業者向け現金給付の課題

経済ジャーナリスト
大西良雄 氏

新型コロナウイルス感染対応の緊急経済対策に中小・小規模事業者向け現金給付(「持続化給付金」)が盛り込まれた。法人なら資本金10億円以上の大企業を除く中小・中堅企業など、さらにフリーランスを含む個人事業主が対象となる。約130万事業者への支給が想定されている。

給付対象は今年1~12月のいずれかの月の売上高が前年同月に比べ5割以上減少した事業者。給付額は5割以上減少した月の売上高の12カ月分と前年の総売上高との差額分だ。ただし法人の給付額は最大200万円、個人事業主は最大100万円。申請は自己申告制で、窓口となる自治体のウェブサイトを通じた電子申請が原則となる模様。売上高5割以上減少を証明する帳簿や確定申告書類の控えなどを提出する必要がある。フリーランスは発注先との間で請負契約書が発行されない場合があり、減収証明に苦労しそうだ。

減収は2月下旬から始まっているとされ、3~5月と事業者は家賃や人件費がかさんでいる。補正予算(緊急経済対策)の組み替えが発生、予算成立が遅れたものの、早ければ5月中に現金給付を受けられる可能性もある。受給までは無利子・無担保の新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫など)でつなぎ、東京都の中小事業者は休業要請に応じた事業者に対する都の「感染拡大防止協力金」の現金給付も活用したい。

2020年4月27日

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大西良雄 氏

1945年生まれ。
上智大学経済学部卒業後、東洋経済新報社入社。記者を経て、「週刊東洋経済」編集長、取締役出版局長、同営業局長、常務取締役第一編集局長を歴任。2006年に退任後、経済ジャーナリストとして独立。早稲田大学オープンカレッジ講師も務める。

大西(おおにし) 良雄(良雄)氏