日本の問題

化粧品、食品…新輸出産業続々

大阪経済大学客員教授・経済評論家
岡田 晃 氏

これまで「内需型」のイメージが強かった分野で、新たな輸出産業が続々と生まれつつある。

その代表格が化粧品だ。日本ではもともと化粧品は輸入のほうが多く輸出はわずかだったが、数年前から急速に輸出が増加し始め、2018年は前年比42%増の5,260億円に達した(財務省「貿易統計」)。この5年間で約4倍もの伸びである。

訪日外国人が日本製の化粧品を購入し帰国後もネット通販などで購入する「帰国後消費」が増加し、それが輸出増加をけん引している。せっけん、シャンプー、歯みがき、生理用品などの日用品でも同様の現象が起きている。

輸出の伸びは食品でも顕著だ。農林水産物・食品の2018年の輸出額は前年比12%増の9,068億円、5年前の2倍近くになった。中でも日本酒や和牛、魚(サバ、ブリ、マグロなど)の増加が目立っている。日本酒の輸出は従来は海外在住や海外旅行中の日本人向けが中心だったが、最近は外国人の間でも人気が高まっているという。

いずれも日本製品の品質や安全性、さらには日本ブームが背景にある。内需型の産業は少子高齢化によって国内市場が縮小傾向にあるが、輸出増加はその逆風を乗り越えうるインパクトがある。こうした日本に対する海外の高い評価をしっかり取り込み需要を拡大することが、日本経済の新たな可能性につながるだろう。

2019年7月8日

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岡田 晃氏

1947年生まれ。
日本経済新聞社産業部記者、編集委員、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター、経済部長、WBSプロデューサー、テレビ東京アメリカ社長などを歴任し、2006年に経済評論家として独立。同年大阪経済大学客員教授にも就任。

岡田 晃(おかだあきら)