日本の問題

人工知能(AI)

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

これから劇的な進展が確実視される分野に「人工知能(AI)」がある。すでに自動運転や自動翻訳、監視・防犯などで実用化も近いとされる。現在は、1950年代後半の第1次、1980年代の第2次につぐ第3次ブームと呼ばれる。コンピューターが人間の脳のように思考する「ディープラーニング」を獲得したことが過去のブームとは決定的に異なる点だ。

人工知能のすごさは人間との対面ゲームでみるとよくわかる。演算能力の向上に伴って、1997年にはチェスで世界チャンピオンに勝利し、2012年には将棋で永世棋聖に勝ちを収めた。最後の砦とされた囲碁でも、2016年に「アルファ碁」が最強のプロ棋士を降した。進化スピードが猛烈に加速している。

この勢いで人工知能が発達を遂げれば、2045年には人間の脳を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」が訪れるという説を支持する専門家も多い。これほどの変化が予想されるからには、人工知能はもはや科学技術の枠に収まりきれず、私たちの社会システムや法体系、倫理観まで否応なしに変えていくことになるだろう。

2017年1月30日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏