飛躍の源泉

大豆の本場アメリカで蒸し大豆を販売

神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏

国内で消費される大豆のうち、国産品は7%足らず。残り93%強は輸入品で、そのうち60%超がアメリカ産。そのアメリカ市場で大豆の加工食品を売ろうとしている会社がある。

袋入り昆布佃煮で知られる株式会社マルヤナギ小倉屋。大豆など豆類の煮物も得意とし、全国のスーパーなどで販売する。同社の経営企画室室長代理の柳本健一氏(34歳)は「国内市場は人口の急減で縮小しつつあるが、今まで培ってきた技術や信用は、世界の市場でも通用するのでは」と世界を見据える。

柳本氏はアメリカ市場を調査し、今年からアメリカ市場向けの商品開発、販売を行うことにした。同社の蒸し豆技術を用いたオーガニック、非遺伝子組み換え、動物製品不使用で加工した商品は、国内でも有機大豆や国産大豆を使った商品として売り上げを伸ばしており、海外でも市場拡大が見込まれる。

「当社の蒸し豆の技術を使えば、素材の持つ栄養や味を最大限に生かせます。今までは料理に手間がかかると敬遠する人も多かったが、そのまま食べられる商品はアメリカ人に受け入れられるはず」

味や品質に厳しいとされる日本で磨き上げられた商品を、海外へ広げていく。若い力が、日本の企業を新しい市場に向かわせている。

2017年1月16日

株式会社マルヤナギ小倉屋 :

兵庫県神戸市東灘区御影塚町4-9-21
【株式会社マルヤナギ小倉屋 HP】

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中村智彦氏

1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【凡才中村教授の憂鬱HP】

中村智彦氏