日本の問題

伸び悩む可処分所得と個人消費

経済ジャーナリスト
大西良雄 氏

3年連続の賃上げ実現にもかかわらず個人消費は「足踏み」を続けている。収入から税金や社会保険料支払いを除いた可処分所得の伸び悩みが原因のひとつだ。

総務省の家計調査によると、2016年の2人以上の勤労者世帯の可処分所得は「アベノミクス」前の2012年に比べ3,692円(各年の月平均額、以下同)の増加にとどまった。実収入は賃上げなどで8,467円増えたが、その約56%が直接税と社会保険料などの非消費支出の増加分(4,775円)に相殺された。勤労者世帯は将来不安から消費を削り、貯蓄を増やす傾向を強め、消費支出は4,283円減少した。

世帯主が60歳以上の無職世帯では2012~2016年の間、可処分所得そのものが月額6,026円減少した。社会保障給付が8,457円も減ったためだ。貯蓄取り崩しを増やし、消費に充てたが、無職世帯の消費支出は2,534円減少した。

社会の中軸の勤労者世帯が非消費支出負担と将来不安から消費を縮減し、60歳以上(総人口の約3分の1を占める)の無職世帯も社会保障給付減から消費を削る。個人消費は増えようがない状況だ。

2017年3月13日

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大西良雄 氏

1945年生まれ。
上智大学経済学部卒業後、東洋経済新報社入社。記者を経て、「週刊東洋経済」編集長、取締役出版局長、同営業局長、常務取締役第一編集局長を歴任。2006年に退任後、経済ジャーナリストとして独立。早稲田大学オープンカレッジ講師も務める。

大西(おおにし) 良雄(良雄)氏