飛躍の源泉

海外客に人気の老舗昆布店

神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏

「富山のお母さん!」と富山で学んだ元留学生たちが再来日した時に立ち寄る商店街の小さな店。それが富山市中央通り商店街にある竹嶋昆布店だ。経営者の竹嶋榮子さんは、亡くなった夫と長年、同商店街で昆布店を営んできた。今は竹嶋さんが店を守っている。

商店街はかつてのにぎわいからほど遠いが、同店にはお客が次々やって来る。実は富山市の1人あたりの昆布消費量は全国平均の2倍以上。専門店を頼りにするお客は多い

いつも明るい竹嶋さんは、国内外からの観光客に分け隔てなく、「休んでいかれ~、お茶飲んでいかれ~」と親切だ。そのため、いつも店先は明るい笑い声にあふれている。

「昆布の仕入れは、質の見分けが難しい。おぼろ昆布は昆布を薄くふわっと削る技術が要るが、だんだんとそういったことのできる職人もいなくなった」と時に嘆くが、それだけ昆布へのこだわりが人一倍なのだ。

シャッターの閉まった店舗が多い商店街の昔ながらの小さな店に、若い外国人観光客や留学生が集まってくる理由を考えてみると、私たちが見落としている商店街の魅力、その生かし方に気づくのではないだろうか。昨年は初孫も誕生し、さらににぎやかになった竹嶋昆布店。一度、のぞいてみてはいかが。

2017年2月20日

竹嶋昆布店 :

富山県富山市中央通り2-4-6
【竹嶋昆布店 HP】

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中村智彦氏

1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【凡才中村教授の憂鬱HP】

中村智彦氏