日本の問題

自動車産業の地殻変動

経済ジャーナリスト
大西良雄 氏

製造業で最大規模の自動車産業がコネクテッド技術、人工知能(AI)など新技術を一体化した次世代カーの投入を始める。

次世代カーの核となるのはインターネット通信につながるコネクテッドカーだ。車がネットと常時つながることで、ガソリン代の決済、駐車場予約などの機能が付加される。事故時の援助支援、盗難車の追跡システムなども可能になる。さらにタクシーの配車依頼、相乗りサービスへのアクセスもできるようになる。

また、車に音声認識機能を持ったAIスピーカーを搭載することによって、音声で音響装置、エアコンの指示、カーナビの操作などが可能になり、コネクテッドカーの機能をさらに高めることになる。

コネクテッドカーは今や世界最大の自動車市場である中国でまず進展するという。中国は膨大なネット人口を抱え、スマホ決済が深く浸透、コネクテッドカーに最適の環境を持つ。中国を皮切りに2035年には世界の新車の9割以上がコネクテッドカーになるという予測(富士経済)もある。電子機器、通信を巻き込んだ自動車産業の地殻変動が始まる。

2018年1月15日

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大西良雄 氏

1945年生まれ。
上智大学経済学部卒業後、東洋経済新報社入社。記者を経て、「週刊東洋経済」編集長、取締役出版局長、同営業局長、常務取締役第一編集局長を歴任。2006年に退任後、経済ジャーナリストとして独立。早稲田大学オープンカレッジ講師も務める。

大西(おおにし) 良雄(良雄)氏