飛躍の源泉

陶磁器産地から海外市場開拓

東京経済大学経営学部准教授
山本 聡 氏

岐阜県土岐市は国内最大級の陶磁器産地。三宅陶器株式会社はその地でホテル・レストラン向け業務用食器の製造・販売事業を営んでいる。その歴史は1961(昭和36)年創業の三宅栄三商店にさかのぼる。創業当時、自社のロゴを入れるために窯を導入したことから、製造機能も有することになった。

三宅陶器は1990年代半ばにロシア市場への輸出にも乗り出し、その後、海外顧客の売れ筋を見ながら、自社ブランドの製品を開発することで、海外市場の売り上げを年々拡大させてきた。現在では海外向けが売り上げ全体の約半分を占めるまでに至っている。

海外営業の一角を担う常務取締役の三宅啓介氏はニューヨークの大学で学んだ後、現地の貿易商社に勤務。その経験を生かし、三宅陶器入社後は英語のカタログを持ってアメリカ、中東、欧州など世界各国を商談で飛び回ってきた。

そうした中で、「洋食は無地のお皿をキャンバスに見立て、料理を使って演出する」、「和食は多種多様な食器を使い、器と料理の両方で演出する」といった、料理と食器に対する国内外の趣向の違いを感じ取ってきた。

こうした経験の蓄積が三宅陶器の海外市場開拓の源泉になっているといえよう。

2018年3月12日

三宅陶器株式会社 :

岐阜県土岐市泉北山町8-1(営業部)

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】

山本聡